幌交換のまとめ

幌の共同購入も無事に商品が届き、めでたくbarchettaの幌交換が終わりましたのでまとめてみます。
年式により細かい違いはあるかもしれませんが、ま、大体似たようなもん…のはずです。
なお写真は作業中のものだけでは足りなかったため、撮り足しした交換後の写真も混在しています。あらかじめご了承ください。

必要なもの

・ゴムイボ付き軍手等(新品と中古の二つがあればベスト、新品は色移りのしないものを推奨)
・プラスドライバー
・電動ドリル
・六角レンチ
・シリコン系潤滑材
・小物入れ(ネジの一時保管)
・接着剤(G-17あたり)
・M6x12のトラスタッピングネジ(2本使用、長さ15mmでも可)
・両面テープ(20mm幅、熱に強い塩ビ用、長さは150cm程度必要)
・はさみ
・キリ
・ペンチ(ラジオ可、radiko不可
・ウエス
・ぬるま湯
・お手伝いさん(2名いるとベスト。物陰から“見てしまう”タイプは事件に巻き込まれるので注意
・お日様と半袖で作業できるような気温(寒いと幌が伸びない)

幌を外す

まずは幌を外さないと作業は進みません。作業自体は3〜4時間もあれば終わりますが、上手くいかなかったときのことを考え、
晴れた日の午前中からスタートするのが理想です。

その1:幌をあけ、左右のウェザーストリップを外す

外すのはフロント側とリア側の2本ずつ計4本です。真ん中は残しておいてかまいません。

フロント側

1箇所ボディ“外側”からネジ止めされているのでそれを外し、前方向に滑らすようにして抜き取ります。

リア側

同じく1箇所ボディ“内側”からネジ止めされているので、まずはそれを外します。
次にトノカバーを開き、幌後部を若干、幌収納部に落とす感じで斜めにし、ウェザーストリップを抜き取る方向とボディが干渉しないようにします(このとき、お手伝いさんが活躍します)。
お手伝いさんに幌を支えてもらいながらウェザーストリップを斜め下方に抜き取ります。
年式の古い車体の場合、ウェザーストリップが固着している場合もあるので、力任せにやらずシリコン系潤滑材などを使って丁寧に行いましょう。滑り止めにゴムイボ付き軍手等が活躍します。

二人がかりで後部のウェザーストリップが抜けない場合、もう一人のお手伝いさんが活躍します。「幌の角度を固定する人」「ウェザーストリップ下部を持って引き抜く人」「ウェザーストリップを上部から押して引き抜きを助ける人」の三位一体攻撃で突破してください。

もしここでどうしてもウェザーストリップが外れない場合は潤滑材をたっぷり隙間に吹いて放置し、様子をみましょう。外したのはウェザーストリップだけなので作業を翌日に持ち込むことも可能です(古い車体なら予め前日に潤滑材を吹きかけておいた方が無難です)。


リア側のウェザーストリップを抜いたら、トノカバーは一旦閉じておきます。

その2:フロント側の取付金具とゴム板を外す

幌フロント側のレバーのあたりにネジ止めされた細長い金具があるので、この金具とその下にあるゴム板を外します。金具とゴム板は後で使うので、作業中誤って踏み付けたりお魚くわえたドラ猫に持っていかれないよう、取り付け時まで大事に保管してください。
金具とゴム板を外したら、骨組みに接着されているフロント部分と、幌の真ん中にある2本の梁部分を剥がします。

その3:リア側の取付金具とゴム板を外す

同じく幌リア側にも金具とゴム板があるのでそれを外します。この金具とゴム板も後で使用するので大道芸人の真似して誤って飲み込んだり、バーベキューの串にされないよう大切に保管します。

その4:幌を外す

トノカバーを開け、先ほどウェザーストリップを外したときと同じ要領での骨組みを斜めにし、リア側左右の引っかかっている部分を外します。引っ掛かり部分が外れると骨組みに隠れているベルトとリベットが出てくるので、これをドリルで揉んで外します。

その5:ワイヤーを抜く

幌両サイド中央寄りにイモネジで固定されているワイヤーがあるので、六角レンチでイモネジを緩め、抜きます。ワイヤー前側の骨組みに固定されている部分はそのままでOKです。

その4:幌サイドにあるテンションベルトを外す

先ほどのイモネジのあたりにリベット止めされたベルトがあるので、リベットを電動ドリルで揉んで破壊し、ベルトを外します。
これで幌の取り外しは完了です。

幌をつける

いよいよ新しい幌の取り付けです。
はやる気持ちを抑えつつ、まずは手を洗いましょう。
そう、古い幌を取り外したあなたの手は汚れきっています。

その1:仮組み

新しい幌を骨組みの上に乗せ、大体の位置をきめます。
最初に最前部の骨組み角に幌を引っ掛け、やや生地を伸ばすように後方に引っ張ります。
次にサイド側のワイヤーを幌両サイドにある筒状になっている部分に通し、イモネジ部分を通過するように骨組みに取り付けます。間違って抜けないよう、イモネジは仮止めしておきます。ワイヤーの先端はイモネジ下部の穴に通し、作業中誤って幌を傷つけないようにしておきます。
最後にリア部の角をひっかけていきます。幌はきつめに出来ているので幌全体を左右に引っ張るようにしながら作業をすすめてください。骨組みのゆがみや幌縫製の関係でどうしてもリア側角が抜けやすい場合は、予め骨組みに薄くボンドを塗り、半乾きにしてから作業を行ってみてください。

その2:幌フロント側固定

池坊小原流・草月流など華道に流派があるように、幌交換にも「前固定優先流」「後固定優先流」の2大勢力があります。
今回は「前固定優先流」の所作について説明したいと思います。

まずは流派の名前とおり、幌フロント側を固定します。トノカバーを開け、仮組みした幌を収納します。その状態でフロント部分の骨組みにボンドを塗り、5分程度放置して半乾きにしたら幌を接着します。
今回購入した幌には、フロント側のみネジ止め用の穴が開いていましたが、あまり当てにはなりません。大事なのは幌のフロント側折返し部分(特に左右の角)と骨組みをしっかり合わせることです。
幌が仮止め状態になったら保管してあったフロント部分の金具とゴム板の出番です。
まず最初に、骨組みフロント側にある中央の穴と幌の穴がかみ合っているか確認します。
もしかみ合っていなかったら幌を少しめくって見当をつけ、キリで幌のネジ位置に穴を開けます。
ゴム板と金具を重ねて片手で器用に持つか、ブルペンで肩を温めているお手伝いさんに出番を告げ、補助を促します。
中央のビスを仮止めしたら幌の皺に注意しながら左右どちらかに向かってビスを留めていきます。この際、ネジ穴の位置がわかりにくいので、金具のネジ穴付近をキリでつつき、幌に隠されたネジ穴を探します。気分は埋蔵金探しに明け暮れていた頃の某コピーライターです。
全てのネジが仮止め状態になったら幌を収納部より持ち上げて、皺を伸ばしながら本留めします。あまりきつく締めすぎるとネジ穴が壊れるのでほどほどの力加減でおこなってください。
尚、フロント側両端にある耳の部分は後で始末するので現時点では放置してください。

その3:ワイヤー固定

フロント側の固定が完了したらリア側の両角が外れていないか確認し、一度幌を完全に閉め、幌脱着レバーでロックします。この一番幌のテンションあげあげが掛かっている状態で車内にもぐりこみ、イモネジを緩め、ペンチでワイヤーを引っ張りながらイモネジを本留めします。ワイヤーの余った部分はそのまま骨組みの中に押し込んでおきます。
ワイヤーの固定が終わったら幌脱着レバーを解除し再び幌をあけます。

その4:リア側固定

幌リア側を跳ね上げ、番茶をすすっているお手伝いさんを呼び出して保持してもらいます。幌の下にウエスを引き、ボディを保護してから幌と骨組みの間にボンドを塗ります。この際、不精してボンドから直接塗らず、必ず指に必要量を搾り出してから薄く均一に塗るようにしてください(直接塗ると大抵ポタポタ焼きはおせんべいの銘品垂れてきてウエスやボディを汚します)。
お手伝いさんに幌を保持してもらったまま、作業者はぬるま湯で手をきれいに洗ってください(指に残ったボンドは一生消えない幌の汚れを招きます)。
手がきれいになった頃にはボンドが半乾きになってますので、皺を伸ばしつつ幌を骨組みに貼り付けます。
リア側にはネジ穴が開いていないので、フロント同様キリでネジ穴を確認しつつ、幌に穴を開けていきます。もう一人の猫と戯れているお手伝いさんも召喚し、ゴム板と金具を保持してもらい、中央部からネジを留めていきます。中央のネジが仮止めできたら残りのネジも留めていきます。最後に左右の角がきちんとはまっていることを確認し、皺を伸ばしながら本留めします。

その5:サイド固定と耳処理

幌サイド部分の耳を骨組みの隙間に押し込み、ウェザーストリップを装着してネジで固定します。
フロントの耳部分はそのままにして置くとトンボが停まりに着て危険です。またツインテールだと勘違いした群集がネギ持参で駆けよってくることも予想されるので処理します。
耳部分の内側にボンドを薄く塗り、フロント側に引っ張りながら内側に折り、ゴム板と幌の間に割り込ませます。その片側が終わったら庭の片隅でカブトムシの幼虫探しをしているお手伝いを呼んで持っていてもらいます。反対側の耳も同様にしょりしたら幌を閉め、幌脱着レバーでロックします。

その6:テンションベルト装着

幌サイド部分にあるテンションベルト(通称:パンツ紐)を装着します。幌と骨組みの隙間からリア側へ捩じれない様に引っ張り、幌取り外し時にドリルで揉んだリベット穴にタッピングビスで固定します。ネジの切っていない骨組みにタッピングビスをねじ込むのでかなり力が入る作業です。ゴムのテンションがきつかったらサイドウインドウを開け、BBQの準備を始めているお手伝いさんを呼んで補助してもらいましょう。

その7:梁部分接着

運転席のシートを前方にスライドしてから背もたれを目一杯後ろに倒し、半リクライニング状態で座ります。
目の前に広がる新品の幌にうっとりすることなく、幌内側にある梁部分の固定用帯をきれいに出します(骨組みと幌の間に隠れている場合があります)。
両面テープを40cm程度に切り、固定用帯の端から中央に向かってつけていきます。
反対側からも同様に両面テープをつけていきます。固定用帯の長さは約75cmなので、2本目は35cm程度に切る事になります(現場合わせで無問題)。
同様に幌固定帯4本分全てに両面テープを貼り付けます。
この状態で幌固定帯の位置を確認します。梁に対してぐるっと回りこめる帯と途中までしか回り込めない帯があるので、回り込めない帯を先に梁に貼り付けます。
貼り付ける際は帯真ん中の両面テープの継ぎ目から剥離紙を剥がし、しっかりと帯を伸ばしながら真ん中から両端に向かって貼っていきます。同様に4本全て帯を貼り付けます。

その8:交換完了&色見本

最後にスクリーン保護の紙を剥がして完了です。


最後に

全部の道具がそろっていてお手伝いさんが二人いれば、半日もかからずに作業は完了します。
間違っても一人でやろうと思わないほうが無難です。

最大の難関はリア側ウェザーストリップの抜き取りと、リア側左右角のはめ込みです。
寒い季節なら作業開始時から幌を広げておき、日光でよく暖めてから作業した方がスムーズです。
どーしても夜間のガレージで行う場合は、ハロゲンヒーターなど幌と室温を同時に暖められる暖房器具を用意するようにしましょう。

それでは、楽しい船頭生活を!